【トラブル】歯科矯正したはずが“出っ歯”に　“治療費トラブル”150人超被害

・コロナ禍でマスク生活が続くこの状況を狙ったのでしょうか。SNSで宣伝すれば実質無料などとうたった歯科矯正です。ところが、実際には多額の治療費が返金されないうえ、ずさんな治療も行われていて、患者ら150人以上が集団提訴しました。

・原告の女性（30代）：「私は今年、出産していて、家族を新しく迎え入れました。借金も残ったまま健康被害も残り、この先どうしたらいいのか分からない状態です。歯がきれいになって健康になって、幸せに暮らしていくつもりでした」

・突如、降りかかった未来への不安を訴える原告。

・歯科治療費を巡る金銭トラブルで、患者ら153人が東京などにある医療法人「デンタルオフィスX」を集団提訴しました。損害賠償の総額は、およそ2億円になります。

・被害者弁護団：「本件については、医療をモデルとした詐欺的な行為。美を追求する女性をターゲットとしたモニター商法、詐欺的な商法。極めて悪質な商法だった」

・集団訴訟を行ったうちの一人。都内に住む会社員の女性。トラブルのきっかけは、マウスピース矯正のモニターです。

・原告の女性（30代）：「コロナ禍で、マスクがあるから矯正にちょうど良いよという時期で、私もやりたいなと思って始めました」

・自身の歯並びに悩みを抱えていた女性はおととし7月、デンタルオフィスX銀座院が勧誘していた“今月までに契約すると無料”というモニターに申し込もうとします。その際、毎月報酬が支払われ、費用が実質無料になると説明を受け、187万円という“歯科矯正”の契約を開始したといいます。当初は毎月5万円ほどの報酬もありましたが、契約から8カ月後、突然クリニック側から連絡が…。

・クリニックの関連会社：「現状、資金移動が間に合っておらず、お支払日の延長をお願いさせて頂きたいと思っております。ウクライナ・ロシア問題などの海外情勢の影響で海外口座からの送金取引が停止しているということが主な要因です」

・原告の女性（30代）：「ちょっと意味が分からないなという感じでした。そもそも、何で海外からの送金の話が出てくるのか」

・その後、モニターとして報酬が支払われることはなく、女性は治療をストップ、130万円の借金だけが残りました。

・また、別の歯科クリニックを訪ねると、女性の前歯には埋まった歯があり「マウスピース（矯正）では歯並びは治らない」と医師は指摘しました。

・雪下歯科医院・雪下明人院長（53）：「最初にこれ（埋まった歯）を抜いてしまうか。一番良い方法は、針金のワイヤ矯正を最初にしていく。最初の段階で、マウスピース矯正はありえないです。恐らく、経験値が少ない先生がやられたんだと思いますね」

・取材を進めると、治療が受けられず突然、歯が抜けた人や歯を4本抜かれ、そのまま放置されてしまったという女性も…。

・被害額約60万円の女性（39）：「もう、この歯がない状態で8カ月くらいはずっといる状態なので、何のためにこんな苦しい思いして、歯もなくなって、何を頑張っているんだろう」

・トラブルのあった医療法人「デンタルオフィスX」。その銀座院は現在、営業していません。その理由を元従業員はこう話します。

・運営会社の元従業員：「銀座院の経営は赤字で、家賃も高くコストがかかるため、今月、閉院したと聞いている。歯科クリニックの運営会社の本業は金融。客の矯正費用を運用して、キャッシュバックするというビジネスモデルだったが、どうやら運用が全くされていなかったようで、ただの自転車操業になっていた」

・デンタルオフィスXの運営会社側は「当社として、責任のある契約については支払う方向で今後も対応していきたいと思っております」

・また「疑義のある契約については慎重に検討し対応したい」とコメントしています。