
人気ユーチューバーが収益激減? 進む「二極化」 クライアントは動画の質やコンプラ重視
・動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」の人気ユーチューバーから「収益が激減した」との声が相次いでいる。そうしたなか、HIKAKIN(ヒカキン)さんが自身のチャンネルは収益が増加していることを明かし、話題を集めた。専門家によると、ユーチューブ広告は、動画の質やコンプライアンスを重視する流れにあるという。稼げるかどうかの「二極化」は、今後さらに進むとみられる。
■広告収入「10分の1」に 「ユーチューバーというユーチューブで収益を上げて稼ぐビジネスモデルは、いずれ終わる」 登録者数180万人を誇るラファエルさんは昨年12月、ゲスト出演したユーチューブ番組でこう述べ、自身の番組の広告収入が10分の1に激減したと告白した。また、今月7日には登録者数122万人のシバターさんが自身の番組で、昨年(2022年)の広告収入がドル建てで14万4000ドルとなり、一昨年から半減したと明かした。2人は過去に過激な動画を何度も投稿し、炎上したこともあった。収益減少に関する投稿は、ほかのユーチューバーからも相次いだ。
■ユーチューブ戦国時代 そんな中、チャンネル登録者数1100万人を抱えるヒカキンさんは1月31日、自身の番組で、昨年と3年前の収益を比較する動画を投稿。収益は増えたとし、「広告単価がめっちゃ上がっている」と報告した。ヒカキンさんは、「彗星のごとく現れるユーチューバーが山ほどいるので、『ユーチューブ戦国時代』かもしれない」と厳しさを認識しつつ、「撮影や編集も最後までこだわり、愛を持って動画を作っている人が末永くやっていけるんじゃないか」と他のユーチューバーにエールを送った。 ロイター通信によると、米グーグルの持ち株会社、アルファベットが2日、2022年第4・四半期決算を発表し、ユーチューブの広告収入は79億6000万ドルで、前年同期から約8%減少した。中国系のショート動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」との競合が進んでいることから、ユーチューブは対抗策として2月から、縦長で最大60秒の短尺動画「YouTube ショート」の収益化をスタートした。
■「長距離走のビジネス」 自身もユーチューバーとして活動する経営学者で「やさしいビジネススクール」代表の中川功一氏は、「ユーチューブは、広告収入は減少したが、映像コマーシャルとの親和性も高く、まだまだポテンシャルの高い広告メディア」と評価する。一部のユーチューバーの収益減少は、世界的な不況による広告収入の減少や、新規参入チャンネルの増加によるパイの奪い合い、広告戦略の変化などが背景にあるとし、「広告の出稿先としてユーチューブがメジャー化した結果、既存メディアと同じように(広告主が)出稿先をより吟味し、コンプライアンスを重視するようになった」と分析する。 また、「ユーチューブは短距離走に見えて、長距離走のビジネス。人々の関心を奪い合う『アテンションエコノミー』の中で、ネタが切れれば、すぐに客足が遠のいてしまう」と、継続して結果を出し続けることの難しさを語る。このためユーチューブの広告収入だけでなく、動画を通じて新たなキャッシュポイント(収益を得る機会)を作るなど、収益モデルの多様性を確保することも大切だという。 ユーチューブで広告収入を得るためには、ガイドラインの準拠をはじめ、チャンネル登録者数1000人以上、直近12カ月の動画の総再生時間が4000時間以上などの条件がある。 広告にはさまざまな種類があり、例えば「ミッドロール広告」は、尺が8分以上の動画にユーチューバー側が広告を差し込む場所を決めることができる。オークション形式で企業が広告枠を買い取り、広告が出稿された回数と一再生あたりの広告単価に応じてユーチューバーに広告収入が入る(手数料を除く)。再生時間が長いほど、広告が多く表示され、広告収入が増える仕組みだ。
■一般人ユーチューバーに壁 ユーチューブのマーケティングなどを行うエビリーのユーチューブコンサルタント、尾形龍哉さんによると、広告単価は視聴者の属性に関係する。「例えば、お笑いコンビ『オリエンタルラジオ』の中田敦彦さんの番組は、ビジネスマン向けのテーマも扱うため、30~40代の男性で比較的に高所得者層が視聴しているとされ、広告のオークションに入札が殺到して広告単価が上がる」という。 一般人でもスターダムにのし上がることができるのが「ユーチューブドリーム」だが、芸能人やテレビ番組の制作に携わっていた人が次々と参入し、テレビ型のクオリティーの高い番組が増加。視聴回数などの指標も伸びている。尾形さんは「高品質な番組に広告を出したいという企業の意向もあり、広告が(特定のユーチューバーに)集中していく可能性もある」とみている。こうした流れの中では、動画の質の向上や、ターゲットの明確化・差別化を図ることが大きなカギとなる。 最近の傾向としては、タイパ(タイムパフォーマンス)重視の若者を意識した動画が増加。会話の間などをカットする編集技法「ジェットカット」を用いたり、無駄なシーンを極力排除して要点だけをまとめたりしたコンテンツが人気を集めている。尾形さんは「時代の変化を敏感にキャッチし、動画に反映していくことも重要になってくる」と指摘する。 メディアとして成熟し、過当競争が進むユーチューブ業界。生存戦略も、よりしたたかさが求められている。(本江希望)
2月5日
YouTube
YouTube(ユーチューブ)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンブルーノに本社を置くオンライン動画共有プラットフォーム。
ネット上のコメント
・「好きなことで、生きていく」You Tubeの2014年のキャッチコピーだ。あくまで「生きていく」のであって「食べていく」わけではない。
・いい流れだと思う。 過激なコンテンツにも種類があると思う。 ただ、単に過激なだけで中身がないものと、過激ではあるが面白かったり気付きがあるもの。
・広告は企業の販売促進やイメージアップを図るためのもの。今まで炎上系や迷惑系と呼ばれるユーチューバーに広告収益が入っていたことがむしろ広告の本来の理念と異なると思う。ラファエルさんはYOUTUBEで有名ではあるがにご意見番的に語られるのは違うと思う。比較的イメージが良いヒカキンさんが収益が減ったと言えばYOUTUBEの収益が減ったのか?と思うがラファエルさんではそうは思えない。この記事を通して感じたことは企業が納得いく広告パートナーを選択するようになったという事だけ。
・テレビからYouTubeへと企業広告が移行してきてるのは時代の流れだと思う 若者はテレビからスマホやサブスクへと 企業宣伝広告も費用をザブザブと使えないからターゲットを絞る意味でも色々な考えがあるかと?
・生き残りを掛けてYouTubeがTVへ進出しているのか、TV番組側が視聴者の裾野を広げようと歩み寄りが起こっているのか、地上波でYouTube(?)を見る事か増えているが、面白くない。
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