
「娘の遺体は見ない方がいい」と言われた母は『会います』と答えた…被害者遺族の“生き方”と“願い”

・「渡邊美希子の母です。あの子がいなくなる前からずっとですけど、いなくなって、より一層考えたことがあります。それは、みんなが、誰もが自信を持って生きていける社会があって、精神的にとても強くて、とても優しい人が多ければこんなことは起こらなかったんじゃないかなっていうこと。あの子がいなくなって、さらにその気持ちが強くなっています。」
・2023年1月30日。高知県警察本部で、ある講演会が行われた。講師は渡邊達子さんと、勇さん。2019年7月18日に京都府で起きた、京都アニメーションへの放火殺人事件の被害者遺族だ。達子さんの娘で、勇さんの妹にあたる渡邊美希子さん(当時35歳)は、京都アニメーションで美術監督も務めていた。その日、突然火の手があがったスタジオ。美希子さんを含む36人の尊い命が、突然絶たれた。遺族が語る、事件当日の出来事。そして、社会への願いを、入社1年目の記者が取材した。
■“京アニ”放火殺人事件が起きた時、私は大学2年生でした
(記者)
・私は、高知県の放送局、テレビ高知に、2022年の4月に入社しました。普段は報道制作局で、警察担当の記者として勤務していて、事件、事故、裁判を中心に、高知県内の様々な出来事の取材をしています。
・京都アニメーションへの放火殺人事件が起きたのは、私が大学2年生の時でした。当時は、大阪府にある大学に通っていて、その日は、私の20歳の誕生日の前日でした。授業を受けて、昼ごろに、住んでいたマンションの部屋に戻りました。何気なくテレビをつけると、飛び込んできたのが、真っ黒な煙をあげながら燃える、京都アニメーションのスタジオ。「遺体が十数人」という字幕が表示されていて、1人なのに、「えっ?」と声が出たのを覚えています。
・夜、友人が誕生日を祝ってくれた食事も、味がよくわからなかったくらい、心が重く、ショックを受けていました。京アニのアニメも見たことがあり、なじみ深かったこと。その後、「犠牲者の数が30人以上」という情報とともに、激しく燃える事件現場の映像も目にし、「逃げられずに犠牲になった人が数多くいたんだ…」という考えが、しばらく頭から離れませんでした。
(略)
2月2日 「娘の遺体は見ない方がいい」と言われた母は『会います』と答えた…被害者遺族の“生き方”と“願い”(テレビ高知) - Yahoo!ニュース
京都アニメーション放火殺人事件
京都アニメーション放火殺人事件は、2019年7月18日に京都府京都市伏見区で発生した放火殺人事件。報道における略称は京アニ事件、京アニ放火など。 アニメ制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオに男が侵入し、ガソリンをまいて放火したことで、男を含む70人が死傷した。
ネット上のコメント
・「何かを起こしてしまっている人がいたとして、その人が本当に大切に思っている人の存在を感じている状態やったら、踏みとどまれることがあるのではないかと、感じたりもしています。」 驚いた。なんとこの遺族の方は、想像を絶する辛い状況にありながら、犯人の置かれた状況に対し、最大限理解しようと努め、根本的な問題をしっかりとらえている。被害者の立場からのこうした発信こそ、いまの社会に重大な影響を与えるはずだ。 素晴らしい記事。
・被害者の家族しか分からない感情はある。 それを世間に伝えようとするマスコミも職業としてあるのだろうけど、被害者の家族の心を場合によってはえぐることになる。 第三者からすると、マスコミは被害者には現状の客観的な報道だけでよいとおもう。 そして裁判等により状況が報じられたらそれを報じれば良いと思う。 被害者の親族や、関係者の悲痛な心情を第三者がふれるべきではないのではないか。 状況解説してるだけでその痛いほどの心情は理解できる。マスコミはあまりにも度が過ぎている。
・凄く母親の気持ちと言うものが良く分かります。 もしも、自分が同じことになってしまったら、どんな姿でも会いたいです。 本当にお辛い体験をなさいましたね。
・8歳の息子がいるが、その子があと30年後に殺人により焼死し、その遺体の確認をしなければならないなんて想像しただけで吐気がします。
・この記事の記者さんはともかく、大きな事件が起こると事件直後に被害者家族に真っ先に取材に行くのは無神経過ぎて何とかならないものかと思う。 犠牲者が大勢出た事件なので、この家族のように今でもつらい思いしている遺族が大勢いる。
・お母さんの反応がすごく苦しみを伝えてくれていますね。
・この事件では、防犯用の格子柵が外れなくて外に出られなかった人がいると聞いた事がある。また、最近は連続窃盗事件で防犯意識が高まり、割れにくい窓ガラスをニュース番組では度々取り上げている。
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